「フィトンチッド講座」第6回。植物には「薬」としての働きを持つものがたくさんあります。昔から経験的に効能が知られ、「薬草」や「薬用樹木」として広く愛用されてきました。
薬になる草=薬草(ヨモギなど)
薬になる木=薬用樹木(イチョウなど)
このような認識で問題ありません。薬用樹木の中には、薬用として栽培されているものも数多くあります。というわけで、今回は「薬用樹木」を紹介します。
主な薬用樹木
| 樹木名 | 部位 | 効果効能 | 
|---|---|---|
| アケビ | つる | 利尿 | 
| イチイ | 葉 | 血圧降下、糖尿病 | 
| カヤ | 果実 | 十二指腸虫駆除、強壮 | 
| イチョウ | 種子 | 鎮咳 | 
| テンダイウヤク | 根 | 中風、鎮痛 | 
| ヤマグワ | 根皮 | 鎮咳、去痰、利尿 | 
| ツバキ | 花、種子 | 利尿、火傷、軟膏 | 
| トチュウ | 樹皮 | 強壮薬 | 
| ニガキ | 幹 | 苦味健胃剤 | 
| 〃 | 小枝 | 消化不良、胃炎 | 
| クサボケ | 果実 | 強壮、むくみ、脚気 | 
| ノイバラ | 果実 | 利尿、強下剤、月経不順 | 
| ザクロ | 根皮、樹皮果 | 条虫駆除、下痢 | 
| チョウジ | つぼみ | 健胃、腹痛、消毒 | 
| ヤマブドウ | 葉 | 白癬、頭瘡(かしらかさ) | 
| マツブサ | 木部 | 神経痛、冷え性 | 
| ネムノキ | 樹皮 | 健胃、駆虫、強壮 | 
| キハダ | 樹皮 | 胃腸病、血圧効果 | 
| サンショウ | 果実 | 健胃、強精、駆虫 | 
| ナンテン | 果実 | 咳止め | 
| メギ | 根、枝葉 | 眼の炎症、健胃、駆虫 | 
| コブシ | つぼみ | 蓄膿症、鼻炎 | 
| ホオノキ | 樹皮 | 収斂、利尿、去痰、気管支喘息 | 
| モチノキ | 樹皮 | 疝気、脚気 | 
| ヤマモモ | 樹皮 | 収斂、下痢止め | 
何やら見慣れない漢字の羅列が多いですね……。これでは何のことやら分かりませんので、さらに詳しく用語説明をする必要がありそうです。
用語辞典
| 用語 | 説明 | 
|---|---|
| 利尿薬 (りにょうやく)  | 尿の排泄(おしっこ)を促進する。腎臓障害・循環障害などによる浮腫(ふしゅ)の治療に用いられる。アミノフィリン・塩化カリウム・フロセミドなど。 | 
| 浮腫 (ふしゅ)  | むくみ。水分が体内に過剰に蓄積した状態。心臓病・腎臓病・血中蛋白質の減少時に全身的に見られる。循環障害によって部分的に認められることも。 | 
| 血圧降下剤 (けつあつこうかざい)  | 高血圧症に対し、血圧を下げるために用いる。直接的・間接的に交感神経を抑制し、末梢血管の抵抗を低下させる。降圧剤(こうあつざい)のほうが一般的かもしれません。 | 
| 糖尿病 (とうにょうびょう)  | 膵臓(すいぞう)から出るインシュリンというホルモンの分泌が不十分なために、糖の利用が行われず、血液中のブドウ糖値が高くなり、尿中にも糖が排泄される内分泌疾患。 自覚症等としては、多飲、多尿、多食、脱力感、羸痩(るいそう)、肥満を示し、感染に対する抵抗性の減弱、動脈硬化の促進、神経炎、網膜症、腎障害をきたすことが多い。  | 
| 羸痩 (るいそう)  | 疲れやせること。痩せ衰えること。 | 
| 十二指腸虫 (じゅうにしちょうちゅう)  | 線虫類コウチュウ科に属する寄生虫の相性。主に象徴上部の空腸に帰省するが、たまたま十二指腸で発見されたためこの名が付けられた。現在は「鉤虫(こうちゅう)」と呼ばれる。 | 
| 鎮咳剤 (ちんがいざい)  | 鎮咳とは、「咳」を「鎮める」こと。コデイン、ノスカピン、桔梗根、桜皮などを使用。咳止め。 | 
| 中風 (ちゅうふう、ちゅうぶう)  | 脳卒中発作の後で現れる半身不随のこと。運動神経の大脳皮質よりの下行路の部分に、脳血管障害が起きたための症状。脳出血または脳梗塞によることが多い。 | 
| 鎮痛剤 (ちんつうざい)  | 患部に疼痛(とうつう:ずきずきうずくような痛み)を感じたとき、中枢神経系に働きかけて、痛みを止める薬剤。麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬がある。 | 
| 去痰(きょたん) | 痰の排出を促進し、呼吸をしやすくして、二次的に咳を鎮める薬。吐根(とこん)、セネガ、キキョウなど。 | 
| 軟膏 (なんこう)  | 脂肪、ラノリン、ワセリンなどを基剤として、ほかの医薬品を混和した半固形状の外用薬。外相や皮膚疾患に使われる。軟膏剤。 | 
| 強壮剤 (きょうそうざい)  | 全身の新陳代謝を促し、栄養状態を良好にし、その結果衰弱した体力を回復させるための薬物。強壮薬。 | 
| 健胃剤 (けんいざい)  | 胃の機能亢進(こうしん)、あるいは胃症を予防するために使われる薬剤。苦味チンキ(くみちんき)は健胃薬の一つで、センブリ、サンショウなどの粉末にアルコールを加えて作ったチンキ剤。 | 
| 脚気 (かっけ)  | 足の感覚が麻痺したり、脛(すね)にむくみができる病気。ビタミンB1欠乏により起こる。全身や足がだるくなり、疲れやすくなる。 | 
| 条虫 (じょうちゅう)  | サナダムシ。条虫類に属する扁形動物(へんけいどうぶつ)の総称。脊椎動物の体内に帰省する。体は扁平で、ひも状。体調は1ミリから数メートル。中間宿主(しゅくしゅ)のマス、ウシ、ブタなどを生で食べると感染する。 | 
| 白癬 (はくせん)  | 糸状菌(カビ)によって起こる皮膚病。みずむし、しらくも、いんきんたむし。 | 
| 頭瘡 (かしらかさ)  | 頭にできる「おでき」の類。ずそう。かしらくさ。「瘡(かさ)」は、できもの、はれものなど、皮膚病の総称。瘡蓋(かさぶた)は、瘡の治りかけにできる皮のこと。 | 
| 収斂剤 (しゅうれんざい)  | 皮膚または粘膜組織のタンパク質を沈殿させて皮膜を形成し、細胞膜の透過性を減少する薬。下痢・炎症・潰瘍(かいよう)・きずの治療に用いる。酸化亜鉛、タンニン酸など。 | 
| 疝気 (せんき)  | 漢方で、下腹部の痛む病気。疝は「痛み」の意味。 | 
まとめ
いかがでしたか? 今回は記事というか、参考資料ですね。
用語辞典に出てきた単語は、薬や漢方薬の効能の部分に登場することがありますので、覚えておくと便利ですよ。
参考:「フィトンチッド普及センター」資料(監修:谷田貝光克先生)










