「干ばつ」と「犯罪者」からコーヒー豆を守れ!

これは我が家で飲んでいるコーヒー豆。
3種類のブラジルの豆をボウルに入れて、ブレンドしたときの写真です。

ブラジルの農家は「コーヒーがない」と嘆いた

「ワシントンポスト(2025年3月15日発行)」を読んでいたら、ブラジルのコーヒー農家、ロドリゲス・アルベスさん(27歳)の話が載っていました。「コーヒーがない」と嘆く彼は、アメリカのスターバックスに豆を輸出して生計を立てているそうです。しかし、温暖化や異常気象、ひどい干ばつによって、コーヒー生産が大変なことになっているようです。

ブラジルは、世界のコーヒー生産の約4割を占める最大の生産国。2024年の記録的な干ばつで農家は悲鳴をあげています。日本にいても、コーヒー豆の値段が上がっているのを実感するでしょう。コーヒーチェーン店でも少しずつ値上げが続いています。20年ほど前、ドトールのミラノサンドは、コーヒーとセットで500円だった記憶があります。今はミラノサンド単品で490円、セットだと800円前後になります。(それでもドトールには行きますが)

価格は上がっても農家は大変

世界で使われる焙煎豆の大部分を占めるアラビカ種の国際価格が、この1年で2倍に跳ね上がったそうです。国際コーヒー機関のデータでも、2024年の価格が前年比で約100%上昇したと出ています。「コーヒーの価格が上がれば、農家は儲かるのでは?」と思われるかもしれませんが、そうはいきません。

ブラジルのアルタ・モジアナ地方では、収穫量が3分の1から3分の2に減った農家もあるそうです。小さな畑ならまだ耐えられるかもしれませんが、大きな農場だと被害は深刻。ロドリゲスさんもその一人で、2024年の干ばつで200エーカー(東京ドーム17個分)の農場を失ったそうです。『くまのプーさん』の100エーカーの森の2倍の広さがダメになってしまったなんて……そのショックは相当なものだったでしょう。この規模の損失は、農家にとって経済的に立ち直るのが難しいようです。

「犯罪者」から命懸けでコーヒーを守る

コーヒーが希少になると、盗む人が出てきます。農家は気候だけでなく、犯罪者とも戦わなければならないのです。ブラジルでは「コーヒー農園」と書かれた看板を外したり(バレると盗まれるから)、武装した警備員を雇ったり、番犬を放したり、ドローンで監視するようになったそうです。コーヒーの香ばしい匂いとは正反対の物騒な話ですね。

例えば、アルタ・モジアナ地方では1000万ドル以上のコーヒー豆が盗まれ、カシア市では覆面の6人組が20万ドル相当の豆を持ち去った事件もあるそうです。犯人は麻薬密売の経験がある武装集団で、コーヒーの価値が上がったから密売を始めたとか。そんな人たちと、農家が戦えるはずがありません。対策にはかなりのお金がかかるので、農家の負担がさらに増えてしまいます。だから、コーヒーの価格は上がっても、設備投資などのコストがかさみ、農家はそれほど儲からないのですね。

日本でも野菜や果物の盗難が増えていますが、銃社会の海外だと命の危険もあるから本当に怖いですね。

「アラビカ種」を育てる難しさ

ブラジルのコーヒー文化を支えるアラビカ種は、世界のコーヒー消費量の6割を占める人気の品種です。味がまろやかで飲みやすいのですが、育てるのは簡単ではありません。収穫まで最低2年かかり、降雨量が多く、18〜21度の気温が必要なんです。ブラジルの南東部、サンパウロ州やミナスジェライス州、リオデジャネイロ州の霧に覆われた山間部は、これまで条件がぴったりだったのですが、2024年は平均気温が26度くらいで、32度を超える日が長く続いたそうで、コーヒー豆は不作でした。

日本でも昨年は「90日連続で夏日が続いた年」でしたから、世界中が暑さに悩まされていたのですね。NASAのデータでも、2024年のブラジルは記録的な干ばつに見舞われ、コーヒー農場だけでなく他の農業にも影響が出たとされています。温暖化が進めば、こうした異常気象がもっと増えるかもしれません。

コーヒーの「裏側」を知ろう

日本では美味しいコーヒーをいつでも飲めるのが当たり前になってきました。コンビニでおいしいコーヒーが飲める時代が来るとは驚きです。誰もが気軽に飲めるようになったコーヒーですが、地球の裏側のブラジルでは、農家が大変な状況に直面していることを覚えておきたいですね。

私たちが毎日飲む一杯のコーヒーには、ロドリゲスさんのような農家が文字通り「命懸け」で育てたコーヒー豆が使われているのですから。