2012年6月5日のタイムズコロニスト(カナダの新聞)の記事に、森林浴の健康効果が紹介されていました。
森林の香り、音、光には癒しの効果があり、その効果は科学的に測定されている。森林浴をしている間、入浴者はエッセンシャルオイルや、フィトンチッドと呼ばれる、植物が腐敗や虫から守るために発する空気中の化学物質を吸い込む。どうやらフィトンチッドは、人体にもポジティブで保護的な化学反応をもたらすようだ。
科学的研究によると、森林浴をした人は、コルチゾール(ストレスを誘発する)のレベルが下がり、脈拍が減り、血圧が下がり、集中力が増し、痛みが軽減したことが証明されている。
記事にも書かれていますが、「森林浴は1982年に日本の林野庁によって提唱された言葉」です。「森の空気に包まれる」ことを「森林浴」と表すとは、素晴らしい発想ですね。
さて、森林浴というと、フィトンチッド=植物から放出される揮発物質(現在は揮発性のないものもフィトンチッドとされる)を呼吸により吸い込むことで、健康効果が現れるイメージがあるかと思います。
しかし実際には、「香り、音、光」に癒し効果があるのですね。私自身、キャンプが好きで、月に一度は山の中で寝泊まりをするので、よく理解できます。
大自然の中、椅子に座ってぼーっとしていると、遠くから鳥の声が聞こえてきます。目の前の花々には、虫や蜂が蜜を探して飛び回り、日光が反射して、天国のような風景を作り出します。風が吹けば、木々が揺れる音が聞こえます。夕方はまさにマジックアワー! 見ているだけで癒されます。夜には野生動物の鳴き声も聞こえてきますね(これは癒しではなく恐怖になることも……)。
さらに、記事には以下のように書かれています。
2007年の研究では、森林の空気中のフィトンチッドにさらされた人の白血球が自然に増加したことも示されている。日本の研究者は、糖尿病患者が森の中を歩くと、血糖値が健康的なレベルまで下がることを発見した。
糖尿病の人に朗報ですね! たしかこの実験はテレビで紹介されていた記憶があります。森の中には、薬用成分がたくさん漂っています。森を歩けば「タダで、健康的に、安全に、副作用なく、健康になれる」というわけ。自然は偉大ですね。
森林浴とは、完璧なバランスが保たれた自然界に身を置くことで、五感(あるいは第六感)を刺激することで、自然界から離れた現代人のバランスを整えるものではないか……。長年、植物に携わってきて、数年前にキャンプが趣味になった私は、そんな風に考えています。